省エネ設備に関する補助金
プロが解説
これまで累計400社以上の過酷な暑熱環境に向き合い、
改善をサポートしてきた「株式会社五常」営業部の宇井が、現場目線で分かりやすく
解説します。
職場における熱中症対策が労働安全衛生規則で義務化され、事業者には体制整備や対応手順の作成、関係者への周知といった実務対応が求められるようになりました。これに伴い、設備更新や運用改善を通じて、暑熱対策と省エネを同時に進める必要性が高まっています。
本記事では、工場・倉庫の現場で活用しやすい省エネ関連の補助金制度に焦点を当て、制度の概要や活用の考え方を整理して解説します。
工場が利用できる
「省エネ補助金」とは
省エネ補助金とは、工場や事業場におけるエネルギー使用の合理化を目的として、省エネ効果が見込める設備更新やシステム導入、運用改善に要する費用の一部を国が支援する制度です。
現行の枠組みは、「工場・事業場型」「電化・脱炭素燃転型」「設備単位型」「EMS(エネルギー需要最適化)型」の4類型で構成されており、工場全体の抜本的な省エネ対策から、特定設備の更新、エネルギーマネジメントの高度化まで、幅広い投資を後押しします。
2025年版:
工場向け省エネ補助金の4類型
工場・事業場型
制度概要
工場や事業場全体のエネルギー利用を俯瞰し、設備更新・システム改修・運用改善を組み合わせて大幅な省エネを図る取り組みを支援する制度です。
先進枠、一般枠、中小企業投資促進枠などが設けられており、省エネ率、省エネ量、エネルギー原単位改善率などの要件を総合的に満たす計画が求められます。特定設備の更新にとどまらず、工程全体の最適化や複数年での計画的投資にも対応できる点が特徴です。
補助内容
補助率は中小企業で1/2~2/3程度、大企業で1/3~1/2程度が目安となり、年度や申請枠によって異なります。補助上限額は比較的高く設定されており、大規模な設備更新や複数設備を組み合わせた省エネ計画にも対応可能です。
対象設備には、高効率空調、ボイラー、モーター、コンプレッサー、工作機械、圧縮空気設備などが含まれ、プロセス熱回収や制御最適化、エネルギーマネジメントの高度化も補助対象となる場合があります。
対象事業者
製造業や物流拠点を中心に、工場・倉庫など事業場単位で省エネ計画を策定する事業者が対象です。中小企業・大企業いずれも申請可能ですが、枠ごとに要件や評価基準が異なるため注意が必要です。
特に老朽化した設備が多い工場や、ピーク時の空調負荷が高く電力コストに課題を抱える事業場では、更新効果を定量的に示しやすく、採択につながりやすい傾向があります。
電化・脱炭素燃転型
制度概要
化石燃料ボイラーからの電化(電気ボイラー、ヒートポンプなど)や、より低炭素な燃料への転換を伴う設備更新を支援し、脱炭素化と同時に省エネを推進する類型です。
蒸気や温水の供給方式の見直し、直火加熱から電化への切り替えなどにより、設備周辺の放射熱や排熱が抑えられ、作業空間の温熱環境が改善されるケースも少なくありません。結果として、熱中症リスク低減との相乗効果が期待できます。
補助内容
電化・燃料転換に伴う主要機器に加え、周辺設備、付帯工事、制御改修など、関連する費用の一部が補助対象となります。評価は、工場全体の省エネ指標や設備単位での改善率など、申請枠ごとの基準に基づいて行われます。
省エネ効果だけでなく、CO₂排出削減効果を重視する点が特徴で、単年度に限らず、複数年にわたる比較的大型の更新案件にも対応できる設計です。
対象事業者
熱需要の大きい製造工程を有する事業者や、熱媒体の更新や燃料転換が合理的なプロセスを持つ事業者が主な対象となります。
電化に伴い受変電設備の増強や電力契約の見直しが必要になるケースも多いため、計画段階から電力会社や施工会社と調整を行い、補助対象範囲との整合性を確認しておくことが重要です。
設備単位型
制度概要
あらかじめ登録・指定された省エネ性能の機器リストから対象設備を選定し、設備単位で更新する取り組みを支援する類型です。申請のしやすさと審査の迅速性が特徴で、空調機、冷凍冷蔵設備、コンプレッサ、ポンプ、照明、変圧器など、工場・倉庫で汎用的に使用される機器の高効率型への更新に適しています。
工場全体の複雑なエネルギー計画を立てる余裕がない場合でも、優先度の高い設備から段階的に省エネを進められる点が強みです。
補助内容
補助率や上限額は当該年度の公募要領で定められ、指定機器の購入費、設置工事費、制御改修などに係る費用の一部が補助対象となります。
採択結果や交付決定一覧はSII(環境共創イニシアチブ)から公表されており、同型機の採択実績や組み合わせ事例を確認することで、現実的かつ通りやすい申請計画を立てやすくなります。
熱中症対策に直結する高効率空調や換気設備の更新は、運転コストの削減と作業環境改善の両立が見込めるため、繁忙期前の更新計画に組み込むと効果的です。
対象事業者
中小企業から大企業まで幅広く活用可能で、倉庫や物流センターのように標準化された設備構成を持つ拠点とも相性の良い類型です。
SIIが公開している「省エネルギー投資促進支援事業」の情報ページに、最新の公募スケジュールや相談窓口が集約されているため、設備更新のタイミングに合わせて早めに申請準備を進めることが重要になります。
EMS型
制度概要
EMS(エネルギーマネジメントシステム)や需要最適化の仕組みを導入し、計測・見える化・自動制御によってエネルギー使用を最適化する取り組みを支援する類型です。
デマンドピークの抑制、空調や換気の最適制御、設備稼働の平準化など、既存設備のポテンシャルを引き出すソフトとハードを組み合わせた改善が特徴となります。
工場・倉庫では、温湿度やWBGTなどの環境指標の監視と空調制御を連携させることで、熱中症リスクの低減と省エネを同時に図ることが可能です。
補助内容
BEMS(ビル向けエネルギーマネジメントシステム)やFEMS(工場向けエネルギーマネジメントシステム)などのシステム導入費用をはじめ、計測機器、ゲートウェイ、制御盤、関連工事費、クラウド利用料の一部が補助対象となります。
EMS単体での導入に加え、設備単位型と組み合わせた申請が可能な公募もあり、指定機器の更新とデータ連携を同時に行うことで、投資対効果を高めやすくなります。
採択実績やエネルギーマネジメント事業者の情報はSIIの公式サイトで随時更新されているため、対象範囲や要件の最新動向を把握し、自社のKPIを明確にしておくことが、採択の可否を左右します。
対象事業者
業種を問わず導入効果が見込めますが、特に複数拠点を管理する製造業や物流企業では、ピーク電力の抑制や需要平準化が直接コスト削減につながりやすい類型です。
まずは主要工程や空調・換気の制御ポイントを整理し、段階的に計測点を増やすロードマップを描くことで、無理のない形で導入を進めやすくなります。
現場の悩み、自分事として解決します
五常は単なる業者ではなく、お客様の現場課題を背負うパートナーです。
「何でも相談できる」安心感と、「必ず解決する」という執念。
この両輪で、暑熱環境・熱中症対策の課題をスッキリ解消へと導きます。


解説者:
宇井
複雑な省エネ補助金の類型選択は、実際の
申請事例から紐解く
工場向けの省エネ補助金には複数の類型があり、設備内容や全体計画との関係で適用可否の判断が難しいケースもあります。
五常では、これまでにお客様ご自身が申請し、省エネ対策を進めてきた事例を蓄積。その知見を踏まえながら、対象になり得る制度を一緒に考えていきますので、まずはお気軽にご相談ください。