暑さ指数(WBGT)とは
プロが解説
これまで累計400社以上の過酷な暑熱環境に向き合い、
改善をサポートしてきた「株式会社五常」営業部の宇井が、現場目線で分かりやすく
解説します。
倉庫・工場の熱中症対策において重要な判断材料となるのが、暑さ指数(WBGT値)です。本記事では、WBGT値の考え方や算出の仕組み、基準値の目安に加え、法改正により企業に求められる対応について、現場管理の視点から整理して解説します。
WBGT値を正しく理解し活用することで、感覚に頼らない安全管理が可能になります。現場のリスク評価や対策見直しの参考としてご活用ください。
暑さ指数(WBGT値)とは
暑さ指数(WBGT値)とは、人体の熱収支に影響する「湿度」「輻射熱(周辺の熱環境)」「気温」を総合的に評価する指標です。
環境省の定義では、屋外で日射の影響を受ける環境において、湿度(自然湿球温度)7割、輻射熱(黒球温度)2割、気温(乾球温度)1割の重み付けで算出されます。一方、屋内や日射の影響がない環境では、湿度と輻射熱を中心に評価されます。
WBGT値では湿度の影響が特に大きく、気温がそれほど高くなくても、湿度が高い倉庫や屋根からの輻射熱がこもる工場では数値が上がりやすくなります。そのため、熱中症リスクを感覚ではなく数値で把握するための必須指標とされています。
暑さ指数(WBGT値)の
計算式は、屋外と屋内で異なる
WBGT値は、直射日光の有無によって計算式が異なり、屋外と屋内で評価の考え方が分かれます。
- 屋外:0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
- 屋内:0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
屋内(倉庫や工場)の計算式には、乾球温度(気温)を直接加算する項目は含まれていません。ただし、湿球温度は湿度に加えて気温の影響も受けて決まる指標であるため、結果として気温の要素も間接的に反映されています。
そのため、屋内であっても室温が上昇すればWBGT値は高くなります。特に倉庫や工場では、湿度の影響が支配的になりやすい点を踏まえ、現場環境に適した計測器で定期的に測定・管理することが重要です。
暑さ指数(WBGT値)の指針
日常生活に関する指針

(https://seikishou.jp/cms/wp-content/uploads/20220523-v4.pdf)
日本生気象学会の指針では、WBGT値28℃以上31℃未満で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」と区分されます。「厳重警戒」レベル以上では、外出を避けて涼しい室内に移動することが推奨されており、空調のない倉庫内がいかにリスクの高い環境かがわかるでしょう。
熱中症予防のための運動指針

(https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html)
日本スポーツ協会の指針では、WBGT値28℃以上で「厳重警戒(激しい運動は中止)」、31℃以上で「運動は原則中止」と定められています。体を動かす作業現場においても、スポーツと同様、またはそれ以上の厳しい安全管理が求められます。
身体作業強度等に応じた
WBGT値の基準値

(https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf)
厚生労働省の基準では、作業負荷(身体作業強度)が高いほど、低いWBGT値でも基準値を超過します。荷役やピッキングなど動きの多い倉庫作業は強度が「中程度」以上になることが多く、事務作業よりも早い段階での熱中症対策が必要です。
法改正で企業に義務付けられた
熱中症対策の実務対応
2025年6月の労働安全衛生規則改正により、一定の暑熱環境下で行われる作業について、企業には熱中症対策に関する体制整備・手順作成・周知が義務付けられました。特に、暑熱リスクを把握したうえで適切に対応できる仕組みを整えることが重要とされています。
WBGT値の把握や休憩設備の整備は、改正規則や関連通達・指針に基づき、すべての作業に一律で求められるものではなく、対象となる作業条件に該当する場合に義務として求められます。
体制整備
企業は、熱中症対策の責任者を選任し、WBGT値や気温などの指標を用いて作業場所の暑熱リスクを把握・記録できる体制を整える必要があります。
倉庫や工場では、エリアごとに熱のこもり方や作業内容が異なるため、代表点だけでなく、実際の作業位置に即した測定と管理を行うことが重要です。
実施手順作成
あらかじめWBGT値や気温が基準を超えた場合の対応フローを定めておくことが求められます。
「作業の中断・短縮」「冷房設備のある休憩所への誘導」「水分・塩分補給の指示」「必要に応じた医療機関への対応」など、現場で迷いが生じないよう、具体的な行動を文書化した手順として整備しておくことが重要です。
関係者への周知
整備した体制や手順については、従業員に対して熱中症の症状・予防方法・緊急時の対応を含めて周知・教育を行う必要があります。
また、改正規則や関連通達では、作業場の近くに身体を冷やすことができる休憩設備(冷房等を備えた設備)を設けることが求められています。単に休憩時間を設けるだけでなく、実際に体温を下げられる環境を物理的に確保することが重要です。
現場の悩み、自分事として解決します
五常は単なる業者ではなく、お客様の現場課題を背負うパートナーです。
「何でも相談できる」安心感と、「必ず解決する」という執念。
この両輪で、暑熱環境・熱中症対策の課題をスッキリ解消へと導きます。


解説者:
宇井
企業が今取り組むべきは、
WBGTに基づいた「実効性ある対策」
暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱・風を組み合わせ、「人がどれだけ危険な暑さにさらされているか」を客観的に示す指標です。 学校やスポーツ現場では活動中止の判断に使われるほど重要度が高く、企業においても数値に基づいた体制整備や手順化が求められます。
五常は、このWBGTを対策の判断軸に据え、風や熱の制御によって数値を改善する、実効性ある暑さ対策をご提案します。