熱中症の労災リスクと会社が負う責任
プロが解説
これまで累計400社以上の過酷な暑熱環境に向き合い、
改善をサポートしてきた「株式会社五常」代表の河野が、現場目線で分かりやすく解説します。
2025年6月1日の法改正により、職場の熱中症対策は「努力目標」から、罰則を含む「企業の義務」へと変わりました。万が一発生した際の労災リスクを抑え、法的な責任を果たすためには、従来の対策だけでは不十分な可能性があります。
本記事では、熱中症が労災認定される具体的な条件と、法改正で企業に義務付けられた「新しい実務対応」を解説します。自社の規定やマニュアルに不備がないか、実務チェックにご活用ください。
熱中症は労災認定されるのか?
業務の場所や作業内容が「暑熱※1な場所における業務」に該当すると判断されれば、熱中症は労災として認定される可能性があります。厚生労働省が定める職業病リスト(労働基準法施行規則別表第1の2)※2に明記されているため、業務起因性が制度上あらかじめ想定されている疾病であり、要件を満たせば労災認定の対象となります。
熱中症が労災認定
されるケース
熱中症が労災として認定されるためには、「一般的認容要件」と「医学的診断要件」の両方を満たす必要があります。
一般的認容要件
仕事の場所や作業内容、作業強度、作業時間の配分、屋内外の温湿度や暑さ指数(WBGT値)などの作業環境を総合的に踏まえ、当該業務に従事したことと熱中症の発症との間に相当な因果関係があると認められることが必要です。
具体的には、休憩や水分補給が十分に確保されていなかった、長時間にわたる高負荷作業が続いていたなど、客観的に確認できる状況が重要な判断材料となります。
医学的診断要件
医師の診断により、体温上昇や意識障害、脱水症状など、熱中症に該当する医学的所見が確認されることが求められます。
診断書や治療経過の記録、検査結果などは、労災認定において重要な資料となり、業務との因果関係を判断する際の根拠として用いられます。
熱中症が労災認定
されないケース
熱中症を発症した時点が業務時間内であっても、発症の主因が業務外の事情にあると判断される場合は、労災として認定されません。具体的には、飲酒や慢性的な睡眠不足、持病の悪化など、業務との関連性が薄い要因が中心と評価されるケースが該当します。
熱中症の労災認定は、所轄の労働基準監督署が、日頃の安全管理体制や当日の作業環境、作業内容と発症状況の関係性を総合的に確認したうえで判断します。単に「勤務中に起きたかどうか」だけで決まるものではありません。
2025年6月1日から
企業の熱中症対策は義務化へ
熱中症による労災件数や重篤な事例が社会問題となる中、厚生労働省は労働安全衛生規則を改正し、2025年6月1日から職場における熱中症対策を企業の法的義務としました。これには、対応を怠った場合に罰則が科される規定も含まれています。
今回の改正は、企業が職場環境のリスクを把握し、具体的な対策手順を整備する責務を明確にすることが目的です。改正に伴い、事業者には次のような対応が求められます。
- 体調不良時の報告体制の整備:従業員が速やかに申し出られる連絡網の作成
- 緊急時の対応手順の作成と周知:医療機関への搬送や身体冷却を含む対応フローの明確化
- 暑熱リスクの把握:WBGT値などの定期的な測定と記録
- 休憩設備の整備:水分・塩分の提供を含む休憩環境の確保
特に「報告体制」と「緊急対応手順」の明文化は、本改正で強く求められている重要項目です。対策が不十分なまま放置すると、従業員を危険にさらすだけでなく、企業として罰則の対象となる可能性があります。
従業員が安全に働ける環境を維持するためにも、自社の規程やマニュアルが改正内容に沿ったものになっているかを確認し、早めに見直しを進めましょう。
現場の悩み、自分事として解決します
五常は単なる業者ではなく、お客様の現場課題を背負うパートナーです。
「何でも相談できる」安心感と、「必ず解決する」という執念。
この両輪で、暑熱環境・熱中症対策の課題をスッキリ解消へと導きます。


解説者:
河野
問われるのは、
発生の結果よりも
「予防のプロセス」
熱中症対策の本質は、発生後の対応ではなく、労災リスクをいかに低減させるかにあります。2025年6月からは法的義務も明確化され、その対策プロセスと実行内容の妥当性がより一層重要になりました。
五常は、風や熱の制御による物理的なリスク低減策と、法的措置の整理をトータルでサポート。お客様の現場状況に合わせ、一緒に納得できる答えを見つけていきます。