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労働安全衛生規則改正による熱中症対策の義務化

2026/02/16
目次
河野氏イラスト画像
解説者:河野
暑熱環境・熱中症対策の
プロが解説

これまで累計400社以上の過酷な暑熱環境に向き合い、
改善をサポートしてきた「株式会社五常」代表の河野が、現場目線で分かりやすく解説します。

2025年6月から施行された労働安全衛生規則の改正により、一定基準以上の暑さとなる環境で行われる作業について、事業者による熱中症対策が義務化されました。

本記事では、義務化に至った背景や対象となる作業の考え方、事業者が取るべき具体的な対応内容、違反した場合に想定されるリスクについて、実務の視点から分かりやすく解説します。

改正労働安全衛生規則が
できた背景

近年は気温上昇に伴い、屋外作業や高温環境下での熱中症事案が増加しています。とくに、発見や初期対応の遅れによって症状が重篤化するケースが問題視されてきました。厚生労働省が公表した資料によると、1年間に職場で熱中症を発症した従業員のうち、死亡者数は30人4日以上の休業を要したケースは約1,000人以上に上っています。

こうした状況を受け、国は職場における熱中症予防を一層強化する必要があると判断しました。その結果、事業者に対して予防に向けた準備や対応の実施を求めるため、労働安全衛生規則(安衛則)の改正が行われました。

2025年4月公表時点 参照元【PDF】:厚生労働省千葉労働局(https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/Coolworkcampaign-CHIBA.pdf

2025年6月施行
「熱中症対策の義務化」で
何が変わったか

施行日・根拠条文
(安衛則第612条の2)

2025年6月1日施行の労働安全衛生規則改正により、第612条の2が新設され、職場における熱中症対策について事業者の義務内容が明確化されました。

第六百十二条の二 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合に、その旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならない。

2 事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること、その他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない。

「暑熱な場所」とは、WBGT値(暑さ指数)で28℃以上または気温31℃以上になる環境を指します。

参照元:厚生労働省千葉労働局【PDF】(https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/Coolworkcampaign-CHIBA.pdf

義務化の3要素

体制整備

万が一、様子に異変がある従業員がいた場合に早期に発見し、適切かつ迅速に対応できる仕組みを整えることが求められます。

熱中症対策の責任者選定、巡視や連絡体制の整備、WBGT値や気温を把握するための計測体制の確立、発見・通報・医療機関への搬送や救急要請の流れ、応急処置の対応方法などが含まれます。

実施手順作成

職場における熱中症対策の手順には、暑熱リスクの評価基準(WBGT値や気温に基づく判断)、休憩や給水の基準、作業中止や作業方法を変更する判断基準、熱中症が疑われる場合の応急処置や搬送手順などを具体的に明記します。

「どのような状況で、どのように判断・対応するのか」を定めることで、現場ごとの判断のばらつきを抑え、一貫した対応が可能になります。

関係者への周知

作成した手順や対策は、従業員や管理者に対して確実に周知・教育することが不可欠です。定期的な安全教育や作業前の情報共有、休憩場所や給水方法の案内、巡視の頻度や観察ポイントの共有などを通じて、現場で実践される状態を維持する必要があります。

周知が不十分な場合、対策が形骸化し、結果として従業員の熱中症リスクが高まるおそれがあります。

対象になる作業と
ならない作業の考え方

義務化の対象となるのは、高温になりやすい場所で行われる作業のうち、一定の時間条件を満たすものです。暑さによって従業員の健康が損なわれるおそれがある作業が中心になります。

一方で、冷房が十分に効いている屋内作業などは原則として対象外とされます。ただし、設備状況や作業内容によっては個別判断が必要になる点に注意が必要です。

「暑熱な場所」の定義

厚生労働省の基準では、WBGT値が28℃以上、または気温が31℃以上となる環境が「暑熱な場所」として扱われます。具体例としては、次のような場所が挙げられます。

WBGT値は日射や湿度なども加味した暑さの指標であり、屋外だけでなく屋内の高温多湿環境でも高い値を示すことがあります。WBGT値の基準を活用し、現場ごとの熱中症リスクを適切に判断しましょう。

時間条件

職場の熱中症対策の対象作業になるかを判定する時間条件には、連続して1時間以上行う作業または1日あたり4時間を超えて行う作業が示されています

この基準に該当する時間や暑熱環境下で連続した作業が続く場合は熱中症対策の義務対象となり、事業者は適切な計測・巡視・休憩などの対策を実施しなければなりません。

参照元:厚生労働省千葉労働局【PDF】(https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/Coolworkcampaign-CHIBA.pdf

対策を怠った際の罰則

義務を履行しなかった場合、行政指導や是正勧告を受ける可能性があります。さらに、悪質または重大と判断されるケースでは、罰金や懲役、書類送検の対象となることも。

加えて、熱中症による労災が発生すれば企業の安全配慮義務が問われ、事業継続への影響や企業イメージの低下につながりかねません。法的リスクの回避という点だけでなく、従業員の安全を守る観点からも、迅速かつ適切な対応が重要です。

河野氏イラスト画像

解説者:
河野

法改正に対応し、
現場で使える対策をとることが重要に

2025年施行の改正労働安全衛生規則により、熱中症対策は企業の明確な義務として厳格化されました。しかし、体制整備や手順書の作成といった形式的な対応だけでは、現場の過酷な暑さは防げません。

これからの倉庫・工場では体制整備や手順書対応に加え、風や熱を物理的に制御する「実効性ある暑熱対策」が不可欠です。 五常は、この法令対応を踏まえ、現場で無理なく継続できる現実的な対策をご提案しています。

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