工場のエアコン電気代が高い
プロが解説
これまで累計400社以上の過酷な暑熱環境に向き合い、
改善をサポートしてきた「株式会社五常」営業部の林が、現場目線で分かりやすく解説します。
工場や倉庫のような広い空間や高天井の環境では、冷暖房に大きな出力が求められます。そのため、わずかな設定のズレやメンテナンス不足であっても、電気代が大きく増加する要因になりがちです。
本記事では、倉庫・工場で使用される業務用エアコンの基本的な仕組みをはじめ、電気代の考え方や高くなる理由、そして現場ですぐに取り組める電気代削減のポイントを整理して解説します。
倉庫・工場では
「業務用エアコン」が使われる
倉庫や工場では、一般家庭向けとは異なる「業務用エアコン(パッケージエアコン・ビル用マルチなど)」が使用されるのが一般的です。
業務用エアコンは、広い床面積や高天井、頻繁な出入りがある開口部、発熱機器の存在などを前提に設計されています。そのため、出力が大きく、1台の室外機で複数の室内機を接続できるといった特徴があります。
業務用エアコンの馬力と能力の目安
家庭用エアコンが「畳数目安」や「能力(kW)」で表されるのに対し、業務用エアコンでは「馬力(HP)」を基準に表示されることが多く、カタログや解説でも「〇馬力=約〇kW」といった表記が用いられます。目安として、1馬力はおおむね約2.8kWとされています。
倉庫・工場のエアコン電気代の
計算方法と一例
業務用エアコンの電気代は、基本的に「電気代=消費電力(kW)×使用時間(h)×電力単価(円/kWh)」で算出します。実際の消費電力は外気温や設定温度、稼働負荷によって変動しますが、概算を把握する目的であれば、カタログに記載されている「定格消費電力(冷房・暖房)」を用いて問題ありません。
1か月エアコンを稼働させた場合の
電気代目安
一例として、30~80㎡程度の作業エリアで使用される5馬力の業務用エアコン(冷房時の定格消費電力:約12.5kW)を、1日8時間・月22日間稼働させた場合、運転時間は合計176時間となります。
この条件で計算すると、12.5kW × 176時間 × 31円/kWh = 約68,200円が、1か月あたりの電気代の目安です。
なお、電力単価は公表されている目安単価31円/kWh(税込、2022年7月22日時点)を使用しています。
参照元:全国家庭電気製品 公正取引協議会(https://www.eftc.or.jp/qa/)
倉庫・工場のエアコン電気代が
高くなる理由
倉庫や工場でエアコンの電気代が高くなりやすい大きな要因の一つが、空調効率の低さです。大空間かつ高天井の環境では天井付近に熱だまりが生じやすく、吹き出した冷気が作業エリアまで届かない場合、設定温度を下げ続ける非効率な運転になりがちです。
さらに、シャッターや搬入口の頻繁な開閉、断熱・遮熱対策の不足、室外機周辺の環境悪化なども、熱交換効率を低下させる要因となります。加えて、工場では工作機械や炉、コンプレッサー、搬送設備などの生産設備自体が大きな発熱源となり、顕熱や放射熱によって室温が上昇しやすい点も電気代増加につながります。
倉庫・工場のエアコン電気代を
削減する方法
倉庫・工場のエアコン電気代削減は、日常的な保全、設備更新、気流を補助する工夫の3つの観点から取り組むことが重要です。
定期的にメンテナンスや掃除を行う
フィルターや熱交換器の目詰まりは送風抵抗の増加や熱交換効率の低下を招き、設定温度に到達するまでに余分な電力を消費します。倉庫や工場は粉じん、繊維くず、油煙などが発生しやすく、家庭やオフィスよりも短い周期での清掃・保守が必要です。
フィルターの定期清掃・交換に加え、熱交換器の洗浄、ドレン系統の点検、室外機周辺の通風確保、ファンやモーター類の異音・振動確認、制御機器やセンサーの校正などを、計画的な保全項目として組み込みましょう。
省エネ型エアコンに更新する
更新時期を迎えた設備については、省エネ性能の高い最新機種への切り替えが電気代削減に直結します。近年はインバータ制御の高度化や熱交換器・冷媒回路の改良により、同一能力でも年間消費電力量を抑えられる製品が増えています。
機種選定の際は、定格性能だけでなく、年間の省エネ性能を示すAPF(通年エネルギー消費効率)や部分負荷時の効率特性、デマンド抑制機能、ゾーニングや台数制御への対応可否なども確認すると、実運用での削減効果を見込みやすくなります。
扇風機やサーキュレーターを
併用する
広い倉庫や工場では、冷気が下層に、暖気が上層に滞留する温度ムラが生じやすく、エアコンだけでは作業エリアが快適にならないケースがあります。
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることで、同じ設定温度でも体感温度が改善し、過度な冷暖房運転を避けやすくなります。
工場のエアコン電気代が高い
場合の解決事例をご紹介!
解決!
設定温度+2℃でも涼しさを保ち、電気代を削減
空調設備が整っているため熱中症のリスクはありませんでしたが、その分、稼働コストが重く、電気代の高騰が大きな課題に。快適な環境を崩さずに、コストだけを下げたいというご相談でした。
そこで、空調の設定温度に頼らず、気流で体感温度を下げるため、大型シーリングファンを導入。冷たい空気を効率よく循環させる仕組みを作りました。
その結果、空調効率が非常によくなり、設定温度を従来より2℃上げても快適性をキープすることに成功。消費電力を大幅にカットしました。さらに、副次的な効果としてリラックス効果のある香りが隅々まで行き渡るようになり、電気代削減と、働きやすい癒やしの環境を実現しています。
現場の悩み、自分事として解決します
五常は単なる業者ではなく、お客様の現場課題を背負うパートナーです。
「何でも相談できる」安心感と、「必ず解決する」という執念。
この両輪で、暑熱環境・熱中症対策の課題をスッキリ解消へと導きます。
解説者:
林
「冷やす」から「風を回す」へ
体感温度を下げ、無理なく省エネしましょう
空調が整っている工場でも、稼働時間の長さからエアコンの電気代が大きな負担になることがあります。しかし設定温度を無理に下げなくても、空気の流れ(気流)を整えれば体感温度は十分に下がるのです。
無理に冷やし続けるのではなく、「風の活用」で消費電力を抑える。
現場状況に合わせた改善策を考えていくのが大切です。